不動産売却

不動産売却の相談先はどこがいい?状況で変わる正解

不動産売却の相談先はどこがいい?状況で変わる正解

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家を売ろうかと考え始めて検索窓に「不動産 売却 相談 どこがいい」と打ち込んだ人の多くは、まだ売ると決めきっていません。決めきっていないのに、一社に電話したらもう後戻りできない気がして、手が止まっている。この状態、僕は何度も見てきました。

で、そういう人が最初にぶつかるのが、どのサイトを開いても同じ「相談内容別・専門家一覧表」です。税金は税理士、登記は司法書士、相続は弁護士。正しいんですが、正しすぎて自分の番号が分かりません。読者が本当に知りたいのは一覧表ではなく、自分は今日、誰に何と言って連絡すればいいのかという一点だけです。

そこを分岐で整理します。あわせて、どの記事もあまり書かない「無料相談がなぜ無料なのか」と「入口の査定額が高い会社ほど、あとで値下げを言ってくる理由」も書きます。後者は僕が仲介の現場にいたときの話です。

結局、誰に相談すべき?状況で最初の一手は変わります

売却を前提とした相談なら、最初の連絡先は不動産仲介会社で構いません。ただし、共有者との対立・住宅ローンの滞納・相続や離婚が絡む場合は、仲介会社より先に連絡すべき相手がいます。順番を間違えると、査定書をもらってから「そもそも売れる状態じゃなかった」と分かって時間を溶かします。

分岐はシンプルです。

  • 単独名義・ローン完済済み・トラブルなし → 仲介会社に直行。ここが一番迷わなくていい層です
  • 共有名義で、共有者の一人でも売却に反対している → 弁護士が先。共有者全員の同意がないと売買契約が成立しないため、仲介会社に行っても話が止まります
  • 相続が終わっていない(名義が亡くなった方のまま) → 司法書士が先。相続登記を済ませないと所有権移転登記ができません
  • 住宅ローンを滞納している、または残債が売値を上回りそう → 借入先の金融機関が先。任意売却になるかどうかで、その後の進め方がまるごと変わります
  • 離婚に伴う財産分与 → 弁護士と仲介会社の並行。売却価格の配分を決めないまま売り出すと、契約直前で揉めます

ローン残債の話をもう少しだけ。仮に残債が2,000万円で、売却見込みが1,800万円だとすると、差額の200万円をどう埋めるかを先に決めないと売り出せません。自己資金で埋めるのか、金融機関と相談して任意売却の形にするのか。この判断は仲介会社ではなく、お金を貸している金融機関との会話から始まります。仲介会社の査定はその材料でしかありません。

僕がこの順番にこだわるのは、実務で「権利関係が片付いていない物件」を扱う面倒さを知っているからです。売主本人は「名義は父のままだけど、まあ売れるでしょ」と思っている。でも買主側の金融機関は、名義が違う物件に融資を出しません。結果、話が進んでから止まる。止まるタイミングが遅いほど、売主の損失は大きくなります。

無料相談窓口の「タダ」にはワケがある、収益構造を先に知っておく

不動産売却の無料相談には、大きく分けて二種類あります。仲介手数料と無関係に運営されている公的・団体系の窓口と、将来の仲介手数料を原資にしている仲介会社の無料相談です。この違いを知らずに使うと、アドバイスの中立性を読み違えます。

前者の代表が宅建協会です。各都道府県には不動産会社が加盟する宅地建物取引業協会があり、不動産取引に関する一般的な相談を無料で受け付ける窓口を設けているところがほとんどです。ここは特定の物件を売らせることで収益が立つ構造ではないので、「そもそも今売るべきか」みたいな相談と相性がいい。

後者、つまり仲介会社の無料相談は、相談そのものでは収益が発生しません。売買が成立して初めて仲介手数料が入る。だから相談の段階から、媒介契約を取ることが会社としての目的になります。これは悪でも何でもなくて、ビジネスモデルがそうなっているだけです。

問題は、読者側がそれを知らずに「プロが親身に話を聞いてくれた」で終わること。親身なのは本当です。同時に、その親身さは媒介契約という出口に向かって設計されている。両方本当なんです。

僕の見方を言うと、仲介会社の無料相談は使っていい。ただし「この人の提案は、自社が媒介を取ることを前提にしていないか」というフィルターを一枚かけて聞く。専任媒介を強く勧められたときは特にです。媒介契約の種類ごとの違いは媒介契約3種類の違いと選び方、営業が専任を勧める理由で書いたので、契約前に目を通しておくと会話が対等になります。

一括査定で電話が鳴り止まない理由と、査定額の高さで選ぶと危ない理由

一括査定サイトに入力すると複数社から同時に電話が来るのは、サイト運営会社が「査定依頼の情報」を各社に有料で配っているからです。不動産会社は1件あたりの費用を払って売主の連絡先を受け取っています。費用を払った以上、営業マンは電話します。それも、他社より早く。早い場合は入力から間もなく着信が始まることもあります。

これ自体は仕組みの問題で、避けようがない部分もあります。対処の仕方は査定後の営業電話がしつこい理由と対処法に書きました。今回のテーマで重要なのはその次、複数社の査定額が並んだとき、一番高い会社を選んでいいのかという話です。

ここで僕が在籍していた頃の話をします。

媒介契約は3か月更新です。そして社内には「1回の契約期間で1回は価格改定を提案する」という流れが定着していました。契約期間の後半、つまり更新が見えてきたタイミングで、反響数と内見数をまとめた資料を用意して、数字を根拠に売主を説得する。「この3か月でお問い合わせが◯件、ご内見が◯件。この水準だと価格の見直しが必要です」と。

資料は本物です。数字も嘘じゃない。ただ、反響が少なかった原因が「相場の悪化」ではなく「最初の査定額が高すぎたこと」だったケースが、実際にありました。

この構造を、相談先選びの視点に置き換えるとこうなります。入口で他社より高い査定額を出して媒介を取る会社は、売り出し価格も高くなる。高いから反響が鈍る。鈍った数字を持って、3か月目に値下げを提案する。高い査定額は、値下げ提案とセットで設計されている可能性があるということです。売主から見れば「この会社が一番高く売ってくれそう」だった3か月が、値下げ交渉のための助走期間になりかねません。

だから査定書を見るときは、金額そのものよりその金額の根拠を見てください。近隣の成約事例なのか、現在売り出し中の物件価格なのか。後者を根拠にした査定は高く出ます。売り出し価格は誰でも自由に付けられる希望価格で、実際に売れた価格ではないからです。査定額がなぜ会社ごとに違うのかは不動産の査定額はなぜ会社で違う?で分解しています。

とはいえ、1社だけの査定で判断するのはもっと危険です。1社しか見ていないと、その金額が高いのか安いのかを判断する物差しがありません。複数社の査定を並べて、金額の差ではなく根拠の差を比べる。これが比較の正しい使い方で、そのために一括査定は道具として有効です。電話が鳴るのは、その対価だと割り切る。

相談先を1社に絞る前に、まず3社程度の査定根拠を横に並べてみる。ここが動き出しとして一番安全です。

「売れない」と言われた物件でも

借地権、再建築不可、老朽化した空き家。一般の仲介で断られた物件を専門に買い取る会社があります。相談も査定も無料です。

無料で相談してみる

司法書士・弁護士・不動産鑑定士に相談すべきタイミング

仲介会社以外の専門家は、「仲介会社では処理できない手続きや判断が発生したとき」に登場します。役割はきれいに分かれています。

司法書士は登記です。不動産を売ると買主へ所有権を移す所有権移転登記が必要で、これは司法書士が代理するのが一般的です。住宅ローンを完済したあとに残っている抵当権を消す抵当権抹消登記も司法書士の業務範囲。実務では不動産会社から司法書士の紹介を受ける流れが通常なので、売主が自分で探す場面は多くありません。ただし相続登記が未了なら、仲介会社に行く前に司法書士へ。ここだけは順番が逆です。

弁護士は、共有者との対立、相続人同士の争い、離婚の財産分与など、当事者間で利害が衝突している場面です。仲介会社は法律上の紛争に介入できません。揉めている状態で仲介会社に相談しても「まず話し合ってください」で終わります。

不動産鑑定士は、裁判所や金融機関に出す根拠資料として客観的な評価が必要なときです。鑑定評価書はそうした場面で根拠資料として使われうる書面で、仲介会社の査定書とは性質が違います。査定書は営業判断が入る見込み価格、鑑定評価書は有資格者による評価。相続人同士で価格に折り合いがつかないときなどに検討する価値があります。

費用は事務所ごとに大きく異なるので、依頼前に必ず見積もりを確認してください。そして税金や相続の扱いは、この記事の範囲では判断できません。譲渡所得税の計算や控除の適用可否は個別事情で変わるため、税理士や弁護士など専門家への相談を前提に進めてください。

今週中にやること、相談前に用意する情報と聞くべき質問

今週やることは2つだけです。書類を3点そろえることと、査定時に聞く質問を3つ決めておくこと。

まず書類。登記事項証明書(登記簿謄本)を法務局か登記情報提供サービスで取得します。所有者が誰の名義か、抵当権が残っているかがここで分かります。次に住宅ローンがある人は、借入先から送られてくる残高証明書か返済予定表を探す。最後に購入時の売買契約書。取得費が分かるかどうかで、将来の税額計算の前提が変わります。必要書類の全体像は不動産売却の必要書類一覧、権利証紛失時の対処までにまとめてあります。

次に質問です。査定を受けたら、その場でこの3つを聞いてください。

  1. 「この査定額の根拠は、成約事例ですか、現在の売り出し事例ですか」——売り出し事例ベースなら査定額は高めに出ます
  2. 「媒介契約後、レインズの登録証明書をもらえますか」——専任・専属専任ならレインズ(業者間の物件情報システム)登録が義務です。証明書を渋る会社は避けたほうがいい
  3. 「買主も御社で見つけた場合、手数料はどうなりますか」——売主と買主の双方から手数料を取る両手取引の可能性を確認する質問です。不動産の両手取引とは?を読んでおくと、返答の意味が分かります

この3つを聞ける状態で相談に行けば、相手の営業トークに流されません。相談先を選ぶというのは、結局のところ自分が質問を持っているかどうかの問題です。

相談先は一覧表ではなく、自分の状況から逆算する

不動産売却の相談先に唯一の正解はありません。あるのは順番だけです。権利関係が片付いていないなら司法書士か弁護士が先。ローンの残債や滞納があるなら金融機関が先。それ以外なら仲介会社から始めて、査定の根拠を3社分並べる。

そして、入口で一番高い数字を出した会社が一番高く売ってくれるとは限らない。3か月後に値下げ提案の資料を持ってくるのは、たいていその会社です。査定額は約束ではなく、媒介契約を取るための提案です。この一点だけ覚えて帰ってもらえれば、この記事の役目は果たせました。

Q. 不動産会社への売却相談は本当に無料ですか?

仲介会社の売却相談と査定は無料であることがほとんどです。相談自体では収益が発生せず、売買が成立したときの仲介手数料で回収する事業モデルだからです。無料であること自体に問題はありませんが、提案が「自社で媒介契約を結ぶこと」を前提にしている点は意識して聞いてください。宅建協会のような業界団体の窓口は、仲介手数料と無関係に運営されている点が異なります。

Q. 複数の不動産会社に同時に相談してもいいですか?

問題ありません。媒介契約を結ぶまでは何社に相談しても自由です。むしろ1社だけだと査定額の妥当性を判断する物差しがないため、3社程度を比較することをおすすめします。ただし専任媒介や専属専任媒介を結んだあとは、他社と重ねて契約することはできません。比較するなら契約前です。

Q. 相談や査定だけして、売らないという選択はできますか?

できます。査定を受けたからといって売却の義務は一切発生しません。媒介契約を結んでいなければ、売らないと決めても違約金などは生じません。ただし査定後は営業の連絡が続くことが多いので、売る意思がない場合は「今は情報収集の段階です」とはっきり伝えておくと、その後のやり取りが楽になります。

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