業界のリアル

査定後の営業電話がしつこい理由と対処法を元業界人が解説

査定後の営業電話がしつこい理由と対処法を元業界人が解説

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査定を申し込んだ翌日から、知らない番号の着信が1日に5件も6件も。折り返す気力もなくなって、スマホを裏返して置いている。そんな状態でこのページにたどり着いた人が多いはずです。

先に言っておくと、その電話の何割かは「あなたの物件を売るため」ではなく「他社より先に媒介契約を取るため」にかかってきています。そして、電話が続く裏側には、不動産会社側の営業サイクルがきっちり存在します。

元・仲介の中の人として、なぜ鳴り止まないのか、どこで断ち切れるのか、法的にどこまで強く出ていいのかを整理します。

査定後に営業電話が鳴り止まないのはなぜか―一括査定の裏側

一括査定サイトを使うと複数社から一斉に電話が来るのは、入力した情報がそのまま提携各社の営業端末に同時配信される仕組みだからです。あなたが1回フォームを送信した瞬間、提携している会社の担当者に「新規反響」として物件所在地・氏名・電話番号が届きます。同じ画面を、同じ時刻に、複数社の営業マンが見ているわけです。

ここで営業側に起きるのは、単純な早い者勝ちの心理です。反響は各社に平等に配られるので、差がつくのは接触の速さだけ。だから「5分以内に架電」「出なければ時間を変えて3回」といった運用が普通に行われます。誰かが意地悪をしているのではなく、そういう設計のサービスを使った結果として電話が集中します。

売却査定以外の入口もあります。自宅にポスティングされたチラシへの資料請求、住宅情報サイトでの会員登録、過去に投資用マンションの話を聞いたときの名刺交換。不動産の電話番号は、一度どこかで出すと想像以上に長く生き続けます。

つまり、査定後の着信ラッシュは異常事態ではなく仕様です。異常なのは、断ったあとも続く場合。そこからは別の話になります。

その電話は「値下げ交渉」の準備かもしれない―専任媒介3ヶ月の裏側

査定額は、売れる金額の予測ではなく媒介契約を取るための入口の数字になっている場合があります。僕自身、入社2〜3年目のとき、上司から「他社に取られるくらいなら高めに出して預かってこい」と言われて、都内の区分マンションで相場より300万円ほど高い査定を出したことがあります。

売主さんから見れば、いちばん高い数字を出してきた会社です。「この会社なら高く売ってくれそうだ」と思って専任媒介を結んでくださいました。

ただ、社内では最初から3か月後に価格改定を提案する前提で動いていました。高く出して預かる、反響が鈍いのを確認する、期間の後半で値下げを提案する。この流れがあらかじめ想定されていたということです。実際、2か月半で値下げをお願いしました。売主さんは渋りましたが、最終的には応じてくださいました。

ここで押さえてほしいのが、専任媒介・専属専任媒介の契約期間は3か月が上限という点です。媒介契約の期間と値下げ提案のタイミングは、偶然ではなく連動しています。契約が切れる前に価格を下げて決めきる、あるいは更新の話と一緒に価格改定を持ち出す。カレンダーがそのまま営業スケジュールになっています。

この構造を知ったうえで、今かかってきている電話を見直してみてください。査定額が明らかに他社より高い会社が、やたらと熱心に「今日中にご説明に伺いたい」と押してくるなら、高い数字で預かって後から下げるパターンの入口である可能性を頭に入れておいたほうがいいです。もちろん、高い査定を出す会社すべてがそうだとは言いません。ただ、根拠を聞いたときの答えでかなり見分けがつきます。

聞くべきことは1つで十分です。「その価格の根拠になった直近の成約事例を見せてください」。募集中の売出価格ではなく、実際に成約した価格の事例かどうかを確認してください。ここで言葉を濁す、あるいは「勢いのある相場なので」といった説明しか出てこないなら、その数字は相場ではなく営業判断で作られたものだと考えていい。

電話が熱心なほど良い会社、ではありません。熱心さの正体は、契約を取る期限が決まっていることだったりします。

宅建業法の「再勧誘禁止」を知っておくと断りやすくなる

「もう結構です」と伝えた相手に勧誘を続ける行為は、宅地建物取引業法で禁止されています。宅建業者は、契約を締結しない旨の意思を表示した相手に対して勧誘を継続してはならない、という趣旨の規定があり、違反すれば監督処分の対象になり得ます。断る意思を口に出した時点で、法的な後ろ盾が発生すると考えてください。

ポイントは、意思表示を曖昧にしないことです。「今は忙しいので」「またそのうち」は、営業側のリストでは「見込みあり・時期を変えて再架電」に分類されます。これは意地悪ではなく、断りとして記録できないからそうなるだけです。逆に「契約する意思はありません」「今後の電話は不要です」とはっきり言えば、多くの会社では架電停止のフラグを立てる運用になっています。

それでも止まらないときの相談先は、お住まいの地域の消費生活センター(消費者ホットライン188)と、その業者を免許登録している都道府県の宅建業指導担当窓口です。通話日時・会社名・担当者名・断った旨をメモしておくと話が早い。個別の事案が違法にあたるかどうかは事実関係で変わるので、悪質さが強い場合は弁護士など専門家への相談も検討してください。

査定後の営業と投資用マンション勧誘は別物―分岐で見る対応の違い

査定後の営業電話と、投資用マンションの勧誘電話は、発生原因も適切な対応もまったく違います。まずどちらなのかを切り分けてください。

自分で査定を申し込んだ場合は、あなたが情報を渡した相手からの連絡です。この中には、査定結果の報告や本人確認といった必要な連絡も混ざっています。全部を無条件でブロックすると、実際に依頼したい会社の連絡まで取りこぼす。だからこの場合は「全部切る」ではなく、2〜3社に絞って残りに明確に断りを入れるのが正解です。断った会社の番号だけを個別に着信拒否する。

依頼した覚えがないのに投資用マンションの話をしてくる場合は対応が逆です。会話を長引かせるほど「話を聞く人」としてリストの評価が上がり、担当が変わりながら架電が続きます。世間話にも乗らない。年収や勤務先を聞かれても答えない。「興味がありません、今後の連絡も不要です」とだけ言って切るのがいちばん早い。名前と会社名だけメモして、あとは何も渡さないでいい。

分岐のしかたはシンプルです。自分で情報を出した相手には「絞る」、出していない相手には「渡さない」。この2つを混ぜると、必要な連絡を切って不要な会話を続けるという逆をやってしまいます。投資用の勧誘がどういう出口を想定して設計されているかは、区分マンション投資の失敗事例|高査定という罠と出口戦略で別途書いています。

今日からできる対処法―断り方・着信拒否・そして電話を減らす選び方

今日中にやれることは3つあります。まず断り文句を固定すること、次に着信拒否の設定、最後に個人情報の削除依頼です。

断り文句は、毎回考えると疲れるので一文に決めてしまってください。「他社にお願いすることに決めました。今後のお電話は不要です」。理由は言わなくていいし、言うと反論の材料になります。値段が理由だと言えば「では再査定します」と返ってくるし、忙しいと言えば「では来月改めて」になる。決定済みであることと、今後不要であることの2点だけを伝えるのがコツです。

着信拒否は、iPhoneなら着信履歴の番号右の「i」から「この発信者を着信拒否」、Androidなら通話履歴の番号を長押しして「ブロック」で設定できます。知らない番号を一括で消音にする設定もありますが、査定を依頼中の人は必要な連絡まで届かなくなるので、個別ブロックのほうが安全です。

一括査定サイト経由なら、そのサイトの問い合わせフォームから個人情報の削除・配信停止を依頼できます。すでに各社に渡ったデータは各社に直接言う必要があるので、「サイト側と、電話してきた会社側の両方に伝える」と覚えておいてください。片方だけだと止まりません。

止まるまでの期間の感覚も書いておきます。明確に断ったあと架電がいつ止まるかは、その会社が断りの記録をどう管理しているかによって差があります。断った日にすでに別の担当がその日の架電リストに入れていれば、翌日か翌々日にもう1本かかってくることもある。2週間以上たっても同じ会社から続くなら、それは運用の遅れではなく方針だと僕は考えているので、前章の窓口に相談する段階です。

そもそも論として、電話の総量は依頼のしかたで変わります。多社に一斉に投げれば当然その数だけ鳴るし、電話連絡を避けたい旨をあらかじめ入力できるサービスもあります。「高い査定額を集める」ことではなく、「根拠を説明できる会社を2〜3社見つける」ことが目的だと考えれば、依頼先を最初から絞るほうが合理的です。査定額のばらつきがなぜ生まれるのかは不動産の査定額はなぜ会社で違う?現場が明かす本当の理由にまとめました。

まだ査定そのものを取り直したい、あるいは一度リセットして依頼先を選び直したいなら、連絡方法を自分でコントロールできる形で申し込み直すのが現実的な一手です。

「売れない」と言われた物件でも

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電話に振り回される側から、選ぶ側に戻るために

今日やることを2つに絞ります。1つ目は、すでに断りたい会社に「他社に決めました、今後の電話は不要です」と伝えて、その番号を個別に着信拒否すること。1社あたり30秒で終わります。

2つ目は、残した会社に「査定額の根拠になった直近の成約事例を見せてください」と依頼すること。売出中の価格ではなく成約価格の事例、と指定するのがポイントです。ここで出てくる資料の質が、そのまま会社の質だと思っていい。

そして媒介契約を結ぶ段階になったら、専任・専属専任は期間が3か月であることと、その3か月がそのまま値下げ提案のスケジュールになり得ることを思い出してください。契約前に「値下げの相談はどのタイミングで、どういう根拠で持ってくるつもりですか」と聞いておくだけで、後から不意打ちを食らう確率はかなり下がります。売却全体の段取りは家を売る流れ全手順|8ステップと後悔しない媒介契約の選び方で通しで確認できます。

鳴り止まない電話は、あなたが不利な立場だからかかってくるわけではありません。あなたの物件に売る価値があるから、各社が取りに来ているだけです。主導権は最初から売主側にあります。

よくある質問

Q. 一度断った不動産会社から、また別の担当者が電話してくるのはなぜですか

断りの意思が会社の顧客管理に反映されていないか、反映前の架電リストがすでに配られているためです。断った直後の1〜2日はタイムラグで再架電されることがあります。それを超えて続く場合は、会社名・担当者名・日時を記録したうえで会社の代表番号に「架電停止の記録が入っているか確認してほしい」と伝えてください。それでも止まらなければ消費生活センターや免許行政庁の窓口に相談する段階です。

Q. 査定だけ依頼して売却をやめた場合、キャンセル料はかかりますか

査定を受けただけであれば費用は発生しないのが一般的です。査定は媒介契約の前段階であり、依頼者に金銭的な義務は生じません。媒介契約を結んだ後に解除する場合は、専任媒介などで会社が支出した広告費等の実費を請求され得るケースがあるため、契約書の解除条項を結ぶ前に読んでおいてください。個別の契約内容の判断は専門家に確認するのが確実です。

Q. 一番高い査定額を出した会社に頼むのはダメなのですか

高い査定額そのものが悪いわけではなく、根拠があるかどうかが判断基準です。直近の成約事例、同じ棟や近隣の階数・向きの違いを説明できるなら妥当な高値の可能性があります。逆に根拠を示せず「まずお預かりして様子を見ましょう」と言う場合は、契約を取るための数字で、後から価格改定を提案される展開になりやすい。数字ではなく説明の中身で選んでください。


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