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ポータルサイトで自分の家の掲載ページを開いて、なんだか暗いな、思っていたより狭く見えるな、と感じた経験はないでしょうか。写真は5枚しかなくて、しかも玄関と外観が妙に傾いている。内見の申し込みが2週間入っていないのは、価格のせいだと言われているけれど、本当にそうなのか。
写真が売却活動の入口であることは、仲介の現場でもよく語られる話です。価格を下げる相談をする前に、まず入口が塞がっていないかを確認したほうが順番として正しい。この記事では、撮り方の基本と、すでに売り出し中の人が仲介会社に写真の差し替えをどう頼むかまで書きます。
売却写真で反響は本当に変わるのか。枚数と明るさがまず見られる
変わります。買主がポータルサイトで物件を選ぶとき、最初に見ているのはサムネイル1枚と写真の枚数で、間取りや価格はその後です。写真枚数が5枚以下だと「判断材料が足りない」と敬遠され、反響が伸びにくい傾向があるとされています(salesdock.jpによる指摘)。枚数が少ないこと自体が、物件に何か見せたくないものがあるというシグナルとして読まれてしまう。
暗い写真も同じ扱いを受けます。買主は「照明が少ない部屋なのかもしれない」と解釈するのではなく、そもそもクリックしません。スクロールの速度のなかで0.5秒くらいで切られていく世界なので、暗い・傾いている・何が写っているか分からない、この3つはその場で脱落します。
ここで押さえておいてほしいのは、反響が伸びない原因を価格だけに求めると、入口の問題が温存されたまま値下げだけが進むということです。価格を下げれば確かに反響は動きますが、たとえば仮に100万円の値下げで反響が戻るとすれば、写真を直せば済んだ話にその金額を払っていることになりかねません。
部屋を広く見せる構図と明るさの作り方、対角線と胸の高さが基本
部屋を広く見せたいなら、部屋の角に立って対角線の方向にカメラを向けます。中央から正面の壁を撮ると奥行きが出ず、実際より狭く写る。角から撮ると対角線の距離がフレームに入るので、同じ部屋でも印象が変わります。
高さは胸の位置、床から120〜130cmあたりが目安とされています(salesdock.jp)。目線の高さで撮ると天井が近く見えて圧迫感が出る。しゃがみすぎると今度は床ばかりが写ります。スマホを両手で持って、肘を軽く体につけて固定すると水平も取りやすい。
明るさについては、上位の解説サイトがほぼ例外なく同じことを書いています。室内の照明をすべて点け、カーテンを全開にする。自然光だけだと窓際と奥で明暗差が出すぎるので、照明で底上げしてやると全体が均一に明るくなります。日中だから電気は要らない、と思って消したまま撮るのが典型的な失敗です。
傾きは、スマホのカメラ設定でグリッド表示をONにすれば解決します。窓枠や壁の縦線をグリッドの線に合わせるだけ。傾いた写真は「雑な物件」「管理が行き届いていない家」という無意識の印象につながるので、ここは手間に対して効果が大きい部分です。
そして、水回り。キッチンのスポンジと洗剤、洗面所の歯ブラシと化粧品、浴室のシャンプーボトル。この3か所は撮影のあいだだけでも棚に隠してください。生活感そのものが悪いわけではなく、水回りの生活感だけは購入意欲を直接削るという点で別格です。
撮影時間帯は午後2時〜3時か、午前中か。2つの説の折り合い方
外観の撮影時間帯には2つの説があり、どちらが正しいとは言えません。プロのカメラマンは午後2時から3時頃を好むという解説(ielove-cloud.jp)がある一方、午前から昼の明るい時間帯を推す解説(nextplus-sumai.jp)もあります。午前は影が濃く出やすく、午後遅くなると全体が暗く沈む、という説明もされています。
結局のところ、時間帯はあくまで目安で、最適な時刻は建物の方角と季節で変わります。南向きの玄関と北向きの玄関では、順光になる時刻がそもそも違う。自宅のファサード(道路に面した正面)がどちらを向いているかを思い浮かべて、その面に日が当たる時間に撮る、と考えたほうが実務的です。
判断がつかないなら、午前と午後の2回撮って明るいほうを採用すれば済みます。スマホならコストはゼロです。
写真の撮り直しを仲介会社に頼むなら、このタイミングが通りやすい
仲介会社に写真の差し替えを頼むなら、媒介契約の更新時期の前後が一番通りやすいです。理由は、その時期に営業担当が売主への説明資料を作り直しているからです。
前職で担当していた頃の話をします。媒介契約は3か月更新で、社内には「1回の契約期間で1回は価格改定を提案する」という流れが定着していました。契約期間の後半になると、反響数と内見数の資料を用意して、数字を根拠に売主を説得しにいく。契約後半に営業の動きが急に活発になるのは、更新を控えて成果を見せる必要があるからです。裏を返せば、この時期は担当者が物件に向き合わざるを得ない期間でもある。
売主側から見ると、ここは値下げを飲むかどうかの局面として語られがちですが、僕は写真の差し替えを持ち出すには絶好のタイミングだと考えています。「反響が少ない」という問題設定は、その場で営業担当自身が持ち込んできている。そこに「価格の前に掲載写真を見直したい」と乗せれば、話の筋としてかみ合います。更新してもらえるかどうかが担当者にとっての関心事である以上、写真を撮り直すくらいの労力は払われやすい。
伝え方は、感情ではなく事実で揃えたほうが通ります。たとえば「ポータルの掲載写真が5枚で、リビングが暗く、外観が傾いています。差し替えたうえで更新したい」という言い方。撮り直しの依頼は、媒介契約を更新する条件として並べて出すと動いてもらいやすいです。更新するかどうかは売主が握っている権限なので、ここは遠慮する場面ではありません。
もうひとつ、現場にいた人間として言っておきます。値下げ提案が来たとき、担当者からは「相場が動いている」「反応が鈍い時期で」と説明されることが多い。ただ実際には、入口の査定額が高すぎたことが原因のケースもあります。写真を直しても反響が動かないなら、そこで初めて価格の話に進めばいい。順番として、安い対策から試すのが合理的です。値下げの打診そのものへの向き合い方は不動産の値下げ提案タイミング、応じる前に見る数字にまとめています。
すでに売り出し中なら今週やること、自分の物件ページの確認手順
まず、スマホでポータルサイトを開いて、買主と同じ画面で自分の物件ページを探してください。仲介会社からもらったPDFの資料ではなく、実際に公開されている画面を見ることが重要です。見た目が資料と違うことは普通にあります。
次に、3点をチェックします。写真の枚数(何枚載っているか)、リビングと水回りの明るさ(他の掲載物件と並べたとき暗く見えないか)、外観と玄関の傾きです。同じエリア・同じ価格帯の他の売り物件を5件ほど続けて開いてみると、自分の物件の写真が見劣りするかどうかは、素人目でもはっきり分かります。これが一番確実な判断基準です。
最後に、問題が見つかったら担当者に連絡します。「どの写真を」「なぜ」「いつまでに差し替えたいか」を文章で送るのがコツです。電話だけだと記録に残らず、流れて消えます。あわせて、撮影担当は誰か(営業本人か外部カメラマンか)、機材は一眼かスマホか、掲載できる枚数の上限は何枚か、この3点も聞いておくといい。ここで歯切れの悪い回答が返ってくる会社は、写真以外の部分でも手が回っていない可能性があります。
そして、依頼しても動かない、そもそも活動報告が来ていないという状態なら、問題は写真ではなく会社との相性です。媒介契約の更新は、担当を変える・会社を変える判断ポイントでもあります。他社が自分の物件をどう見ているのかを並べて比べておくと、更新の場で交渉材料になります。
契約形態そのものを見直したい人は媒介契約3種類の違いと選び方、営業が専任を勧める理由を、報告が来ないことが気になっている人は売却活動の報告義務、頻度より中身を見るべき理由を読んでおくと、更新時の会話が噛み合います。
写真は、唯一売主の手で今日改善できる部分
価格は下げないと動かせません。立地は変えられません。そのなかで、写真だけは売主が今日の午後に動いて改善できる領域です。カーテンを開けて、照明を全部点けて、水回りのボトル類を棚にしまう。それだけで撮り直しの下地は整います。
今週やることを2つに絞るなら、ひとつはポータルサイトで自分の掲載ページを開いて写真の枚数を数えること。もうひとつは、担当者に「掲載枚数の上限は何枚か」をメールで聞くことです。この2つの答えが揃った時点で、自分の物件の入口が塞がっているかどうかは判断できます。
よくある質問
Q. 物件写真に表札や隣の家、駐車中の車が写り込んでも大丈夫ですか
写り込みは避けたほうが無難です。表札の氏名、車のナンバー、隣家の窓や洗濯物は、撮影時に画角を変えるか、掲載前にぼかし処理を依頼してください。法的な線引きは状況によるため個別の判断は弁護士など専門家に相談すべき領域ですが、実務では「売主自身が嫌だと思うものは載せない」が基準になります。仲介会社に差し替えを頼めば、通常は対応してもらえる範囲の作業です。
Q. 空室の部屋にCGで家具を合成するバーチャルステージングは使っていいですか
使う場合は、合成画像である旨を明記するのが前提です。家具が実際に付属すると誤解される載せ方をすると、誇大広告として問題になりかねません。費用は業者とプラン次第で幅があるので、依頼する前に1枚あたりの単価と修正回数の上限を確認してください。内見で実物を見た瞬間のギャップが大きいほど、成約から遠ざかるという点は頭に置いておいたほうがいいです。
Q. 自分でスマホで撮って、仲介会社に使ってもらうことはできますか
できます。実際、居住中の物件では売主が片付けと明るさを整えた状態で撮った写真のほうが条件がいいこともあります。渡すときは、グリッドで水平を取り、照明を全灯にして、対角線の構図で撮った横位置の写真を部屋ごとに2〜3枚ずつ。採用するかは仲介会社の判断になりますが、「この写真と差し替えてほしい」と現物を添えて頼むほうが、口頭で改善を求めるより圧倒的に早いです。



