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不動産の囲い込みを見抜く方法とレインズ証明書の見方

不動産の囲い込みを見抜く方法とレインズ証明書の見方

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専任媒介を結んで一定期間が過ぎているのに、内見の数が伸びない。ポータルには出ているのに問い合わせの報告はほとんど来ない。担当からは時期が悪いという説明が返ってくる。この状況に心当たりがあるなら、この記事は役に立ちます。

売主の物件が他社に紹介されていない状態、いわゆる囲い込みは、電話口の「商談中です」という一言だけで成立します。書面も記録も残りません。だから売主は気づけない。逆に言えば、気づくための手段も限られていて、そこを知っているかどうかで結果が変わります。

「商談中です」の一言を、なぜ疑うべきか

「商談中です」は、外部から真偽を検証できない返答です。僕が買主側の客付けで動いていたとき、レインズで見つけた物件に物確(物件確認の電話)を入れたら、即答で「商談中です」と返ってきました。それ自体は珍しくありません。おかしかったのはその後で、2週間後も同じ物件がポータルサイトに掲載され続けていたことです。

本当に申込みが入っているなら、通常は掲載を止めるか商談中の表示に切り替えます。掲載を続けたまま他社の紹介だけ断るのは、買主をまだ探している状態と矛盾します。再度電話しても回答は同じ「商談中」。結局その物件は自分の客に紹介できずに終わりました。

売主側から見ると、この状況は何も見えません。「商談中」と断られた事実は、売主への報告書には一行も載らないからです。報告に書かれるのは自社経由の反響数や内見数だけ。他社から何件問い合わせが来て何件断っていても、売主の手元の紙は変わりません。

この構造をもっと詳しく知りたい人は、「商談中です」の裏側―レインズ囲い込みの実態と対処法のほうで実態側を掘っています。この記事では、売主が自分で確かめる手順に集中します。

囲い込みが起きるのは営業の悪意ではなく評価制度のせい

囲い込みの動機は、担当営業の人柄ではなく評価設計から生まれます。僕が在籍していた会社では、支店単位で追う数字のひとつに両手比率が入っていました。同じ成約でも、他社が買主を連れてきた片手案件は個人評価上の重みが低い。片手と両手では会社に入る手数料が単純に2倍違うので、そう設計されるのは経営としては自然です。

結果、営業には「自社で買主を見つけるまで粘る」動機が働きます。売主にとっては早く売れたほうがいいのに、担当にとっては自社客で決めたほうが得。この利害のズレが囲い込みの正体です。

だから僕は、囲い込みを個人の不正として告発するよりも、制度がそうなっていると理解したうえで売主が自衛するほうが現実的だと考えています。評価制度が変わらない限り、規制だけでは消えません。手数料の構造そのものは不動産の両手取引とは?仕組みと売主が今日できることで整理しています。

レインズ登録証明書を請求して、ステータス欄を自分の目で見る

売主が使える最も直接的な対抗手段は、レインズ(不動産会社間の物件情報ネットワーク)の登録証明書を取り寄せて、ステータス欄を自分の目で見ることです。専任媒介・専属専任媒介を結んだ場合、仲介会社にはレインズへの物件登録義務があり、登録を証明する書面を売主に交付する義務もあります。つまり、これは「お願い」ではなく売主の権利です。

手順はシンプルです。まず担当営業に「レインズの登録証明書をください」と伝えます。媒介契約時にすでに渡されているケースもあるので、契約書類の束を先に確認してください。次に、証明書が手元に来たら記載内容を読みます。最後に、書かれている内容と担当の説明が食い違っていないかを照合します。

証明書で見るべき箇所は限られています。物件の公開状況を示すステータス欄が最重要です。ここが「公開中」なら、他社の営業がレインズを検索したときに見つけられる状態です。一方で「書面による購入申込みあり」「売主都合により一時紹介停止中」といった表示になっていれば、他社からは商談中の物件として扱われます。申込みも入っていないのにこの状態になっているなら、話が合いません。

もう一点、登録年月日と物件番号を見てください。媒介契約日から著しく遅れて登録されている、あるいは証明書自体が出てこないという場合、そもそもレインズに載っていない疑いがあります。物件番号が分かれば、後述の覆面調査でも使えます。

証明書には、担当営業への連絡方法が記載されているのが通常です。ここに書かれた電話番号が代表番号なのか担当直通なのかも、地味ですが見る価値があります。物確の電話が担当以外に繋がらない設計になっていると、断るのは簡単になります。

「請求したら担当に嫌がられるのでは」と心配する人がいますが、義務の履行を確認されて機嫌を損ねる会社なら、その時点で情報が得られたと考えていいです。僕の感覚では、登録証明書の請求に渋る会社は、渋る理由がある。逆に、きちんとした会社は聞かれる前に渡してきます。内見前後に確認しておきたい実務は内見準備で売主がやることは?鍵と登録証明書が盲点にまとめています。

知人や別の不動産会社に問い合わせてもらう「覆面調査」のやり方

証明書上は「公開中」なのに紹介が来ない場合、次の手は第三者に問い合わせてもらう覆面調査です。狙いは、他社からの物件確認に対して担当がどう答えるかを確かめることです。僕が経験した「商談中と即答され、2週間後も掲載が続いていた」物件は、まさに外から電話を入れて初めて異常が分かりました。売主側からは絶対に見えない部分です。

頼む相手は、その物件の売却に利害関係のない人がいいです。遠方の知人、あるいは自分が査定を依頼したが媒介を結ばなかった別の不動産会社。後者のほうが物確の言葉遣いに慣れているので、精度は上がります。聞いてもらう内容は3点に絞ってください。買いたい客がいるので紹介したい、内見の案内は可能か、不可なら理由は何か。

記録は必ず残します。いつ、誰が、どの番号に電話して、どう言われたか。日時と回答内容をメモしておけば、後で媒介契約の見直しを持ち出すときに、感情論ではなく事実の話ができます。ポータルの掲載状況のスクリーンショットも、日付が分かる形で残しておくと強いです。

ただし限界もあります。本当に申込みが入っていて、たまたま商談中だった可能性は消せません。だから一度の電話で結論を出さず、2週間ほど間隔を空けて2回試すのが僕の推奨です。1回目も2回目も商談中で、その間ポータルに出続けているなら、説明のつかない状態になります。それに、報告書の中身と突き合わせると矛盾が見えてきます。報告の読み方は売却活動の報告義務、頻度より中身を見るべき理由で書きました。

囲い込みが疑わしいとき、媒介契約は解除できるのか

媒介契約は、期間満了を待たずに解除できる場合があります。まず押さえておきたいのは、専任・専属専任の契約期間は最長3ヶ月で、自動更新はされないという点です。つまり、証拠を集めながら期間満了を待ち、更新しないという選択が最も揉めません。満了で切るなら、違約金の議論はそもそも発生しません。

期間中に解除したい場合は、二通りあります。ひとつは合意解除。双方が納得して解約するもので、実務ではこれが一番多い形です。もうひとつは、仲介会社の義務違反を理由にした解除。レインズ登録義務や報告義務を果たしていないなど、契約に反する事実がある場合です。ただし何が義務違反にあたるかは契約書の条項と事実関係で決まるので、違約金や費用償還の可否を自分で断定しないこと。契約書を持って弁護士など専門家に確認するのが安全です。

判断の分かれ目を整理すると、こうなります。証明書も出ず覆面調査でも紹介を断られるなら、期間満了での非更新を前提に動く。一方、証明書は正常で反響も報告されているが売れていないだけなら、囲い込みではなく価格や見せ方の問題である可能性が高く、担当を替えるより戦略を練り直すほうが早いです。

切り替えを考えるなら、次の依頼先を先に用意しておくのが実務的です。契約が切れてから探し始めると、空白期間のあいだ物件が市場から消えます。複数社の査定と説明を並べて比べておくと、囲い込みをしにくい体制の会社かどうかも見えてきます。媒介契約の形態そのものを変える選択もあるので、媒介契約3種類の違いと選び方、営業が専任を勧める理由も合わせて読んでおいてください。

「売れない」と言われた物件でも

借地権、再建築不可、老朽化した空き家。一般の仲介で断られた物件を専門に買い取る会社があります。相談も査定も無料です。

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なお、一括査定は便利ですが使い方を間違えると営業電話の嵐になります。副作用も含めて不動産一括査定のデメリットと後悔しない使い方で先に確認しておくと、無駄な消耗を避けられます。

今週やるなら、この2つから

今日できることは、担当営業へのメールを1通送ることです。「レインズの登録証明書をいただけますか。物件番号とステータス欄を確認したいです」。電話ではなくメールで、記録が残る形にしてください。証明書がすでに渡されているなら、契約書類の束から探してステータス欄が「公開中」になっているかを見る。それだけで5分です。

もうひとつは、利害関係のない第三者に物確を1本入れてもらうこと。紹介を断られたら日時と回答をメモし、その時点のポータル掲載をスクリーンショットで残す。2週間後にもう一度同じことをする。2回とも断られて掲載が続いていたら、更新しない前提で次の会社を探し始めるのが妥当な判断です。

囲い込みは告発すべき不正である以上に、売主が構造を知って避けるべきコストだと僕は思っています。ただし、内見が少ない原因は囲い込みだけではありません。価格設定、写真、時期、いずれも影響します。だからこそ、まず証明書という事実から確認する。順番を間違えないでください。

Q. レインズ登録証明書は売主が直接レインズに請求できますか?

売主が指定流通機構に直接請求することはできず、媒介契約を結んだ不動産会社を通じて交付を受けます。専任媒介・専属専任媒介では会社側に交付義務があるので、請求は正当な要求です。渡されない、理由をつけて先延ばしされるという対応自体が、判断材料になります。

Q. 一般媒介にすれば囲い込みは防げますか?

複数社に依頼できる一般媒介は囲い込みのリスクを下げますが、副作用もあります。一般媒介ではレインズへの登録義務がなく、どの会社も「自社で決まるとは限らない」状態になるため、広告費や手間のかけ方が慎重になりがちです。物件の競争力が高いなら一般媒介、手間をかけて売り込む必要がある物件なら専任で報告と証明書を厳しくチェックする、という切り分けが現実的です。

Q. 囲い込みが疑わしいと担当に直接言っていいですか?

言っていいですが、順番として先に証拠を揃えてください。登録証明書のステータス、覆面調査の日時と回答、ポータルの掲載記録。この3点が揃っていれば話は具体的になり、会社側も対応を変えます。証拠なしで疑いだけ伝えると「そんなことはしていません」で終わり、関係だけが悪くなります。

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